■相続時精算課税は使いやすくなった?

令和6年1月1日以後の贈与について相続時精算課税を選択した場合に、これまでにはなかった「基礎控除110万円」が利用できるようになりました。

贈与された金額から基礎控除110万円を控除し、さらに特別控除2,500万円を引いた残額に税率20%をかけて贈与税額を算定します。

さらにこの基礎控除110万円は、暦年贈与の生前贈与の最長7年の持ち戻しとは異なり、相続財産へ加算する必要がありません

■増加する利用者

令和6年中において相続時精算課税を選択した納税者は77,905人となっております。

令和5年は49,232人でそれ以前も4万人を超える程度でしたので、前年比58%増と大幅に利用者が増えているのが分かります。

令和4年、5年に相続時精算課税により現預金を贈与した納税者は1万8千人でした。

令和6年では、3万8千人と倍以上に増えていることから、従来の暦年贈与から相続時精算課税を利用しての贈与に切り替えた納税者が多くいるものと考えられます。

■暦年贈与との比較

項目 ① 純粋な「暦年贈与」 ② 新・「相続時精算課税」の110万円枠
控除枠 年110万円 年110万円(+特別控除2,500万円)
申告の手間 110万円以下なら申告不要 最初の選択時に税務署への届出が必須

基礎控除以下は申告不要

亡くなる前の足し戻し 死亡前7年間の贈与は相続税の対象に 基礎控除110万円以下の贈与であれば何年前の贈与でも相続税の対象外

■暦年贈与と相続時精算課税の併用

①暦年贈与で父母から110万円ずつ贈与された場合

110万円+110万円-基礎控除110万円=110万円

110万円×10&=贈与税11万円

贈与税が11万円かかり生前贈与加算の対象となります。

②相続時精算課税で父母から110万円ずつ贈与された場合

父から 110万円-55万円-特別控除55万円=0円

母から 110万円-55万円-特別控除55万円=0円

この場合には、基礎控除110万円を按分して計算することになり、両方とも申告が必要となります。

③父から相続時精算課税で110万円、母から暦年贈与で110万円

父から 110万円-110万円=0円

母から 110万円-110万円=0円

この場合には納税額もなく、申告も不要となりメリットを受けやすくなります。

■注意点

相続時精算課税を選択したら暦年贈与には戻れませんので慎重に検討する必要があります。

また、相続時精算課税を選択したにもかかわらず、相続人が制度を理解しておらず相続税の申告時に財産が漏れていたというケースがあります。

「申告書等閲覧サービス」で提出されているかどうか確認しましょう。

https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/050301/01.htm

■まとめ

資産内容や、資産規模によってどのように対策すればいいかは変わってきます。

事前のシミュレーションを行い最適な対策を心がけましょう。