■賃貸アパートを生前贈与するとどうなる?

お父さんが経営していた築15年の賃貸アパート(建物)を息子さんに贈与したとします。

前提条件

建物の通常の取引価額 :4,000万円

建物の相続税評価額  :2,800万円

借入金の残額     :800万円

取得費        :不明

①ケース1(建物のみ引継ぐ場合の贈与)→負担付き贈与にならない。

子:(2,800万円-110万円)×45%-265万円=945.5万円

親:課税なし

相続税評価額での贈与となりますので、2,800万円から基礎控除を引いて税率をかけて計算します。

②ケース2(建物と借入金を引き継ぐ)→負担付き贈与になる。

子:(4,000万円-800万円-110万円)×50%-415万円=1,130万円

親:(800万円-800万円×5%)×20.315%=154万円

この場合には、お父さんは借入金の800万円の返済をしなくなるので、債務である借入金の額800万円でアパートを売却したものとして、譲渡所得の対象となります。

しかも、贈与についても相続税評価額でなく通常の取引価額である時価で贈与したものとして課税されますので、親子ともに税負担が重くなる結果となります。

■借入金以外にも負担付き贈与は関係してくる

借入金を完済している場合にも負担付き贈与が絡んでくる場合があります。

賃貸アパートでは敷金や保証金を預かっているのが一般的です。

賃貸アパートの名義がお父さんから息子さんへ移転した場合には、敷金等の返還義務も自動的に息子さんへ引き継がれます。

この場合に、お父さんから息子さんへ「預かっていた敷金等」に相当するお金を息子さんへ渡していないときは、これも負担付き贈与に該当しますので、相続税評価額ではなく通常の取引価額で贈与したものとされます。

また、お父さんも「預かっていた敷金等」を実際に渡しますので、譲渡所得による課税は生じないということになります。

■まとめ

贈与の際には、建物だけ個別単体で考えてしまうことが多くなりがちです。

全体として何が最適かを考慮しながら承継の対策を考える必要があります。

また、金融機関への借入金がある場合には、債務も変更となりますので事前に金融機関へも相談するようにしましょう。