■思いがけず贈与になる
母が亡くなり、孫が保険金を受け取った場合にかかる税金は?
「死亡保険金だから相続税だろう」と思っていたら孫へ贈与税が課税された、なんてこともあります。
このときには、誰が契約者として保険料を払っていたか?が問題となります。
保険の対象(被保険者)が母で、契約者(保険料負担者)が自分、保険金受取人が孫の場合には、契約者と受取人が異なるので受取人である孫へ贈与税が課税されます。
契約者と受取人が同じであれば所得税がかかり、上の例で母が契約者であれば死亡保険金は相続税の対象となります。(相続人でない孫が受け取れば2割加算)
これが「みなし贈与」と言われるものですが、通常の贈与とみなし贈与は何が違うのでしょうか?
■通常の贈与
当事者双方の「あげます」「もらいます」の意思表示があって成立する契約です。
贈与契約書などを作成し、「親から子へ現金を500万円あげる」、「実家の家をあげる」といったものが該当します。
お互いの意思表示が必要となりますので、単純に親が子供名義の口座へ500万円入金したとしても、子どもがその事実を知らなければ贈与にはなりません。
(※名義預金という扱いになり親の相続財産)
■みなし贈与
一方で、みなし贈与については相続税法第5条から第9条の5に規定されているもので、民法の考え方とはまた違うものになります。
これは、お互いに「あげます」「もらいます」の意思表示がなくても、一方が「得をした」「経済的に利益を受けた」という事実に着目して課税されるものになります。
例えば、借金の肩代わりをした場合や通常の相場より安く売ってあげた場合などが該当します。
■みなし贈与は限定列挙だが幅広い
相続税法第5条から第9条の5に記載されている項目に限定されていますが、実務的にはとても幅広く裁判などで争われることも多々ある論点となっています。
1.生命保険金
最初の例にあるように保険金受取人以外が負担して得た保険金について贈与税が課されます。
2.定期金の給付
個人年金などのように定期金として受け取る場合ですが、これも生命保険と同じように、受取人以外が負担して得た定期金について贈与税が課されます。
3.低額譲受
実家の土地をお父さんから息子へ相場よりも著しく低い価額で売った場合に、息子さんへ課税されます。
4.債務免除
子どもの借金を親が代わりに返済した場合は「債務免除」あたり子どもへ贈与したものとみなされます。
5.その他の経済的利益
父親名義の実家のリフォーム費用1,000万円を子どもが負担した場合など、相続税法第9条では「その他の経済的利益」という抽象的な表現で包括的にまとめています。
■まとめ
税法では、合意の有無という当事者同士の自覚があるかどうかに関係なく、原因と結果を見て誰がどれだけ得をしたかで贈与税の課税が決まります。

